文化・芸術

2020年5月11日 (月)

大来佐武朗「わが志は千里にあり」その二

おはようございます。

今日は先週木曜日の続きです。

 

大来さんは、著書の中で

「構想・判断そして行動が大切」

と仰っていたと。

そして、

「経済ゼロ成長の時代に直面した時に、大切なのは(人間の)内面の豊かさだ」

と説かれています。

この「内面の豊かさ」を具体的に考え、判断し、実行する事は

まさに現代に生きる我々に問われているように感じます。

考察していきます

 

経済成長=善とする社会。

はたして経済がずっと成長することなどあり得るのでしょうか。

日本においては、縄文はもちろん江戸時代ですらほぼ経済成長がない(定常成長)と言われています。

よく、本当に価値あるものは

「プライスレス:貨幣価値では測れない」

と言いますが、縄文や江戸は、この様なものであふれていたのかと想像すると楽しくなります。

それこそが、現代が忘れてしまったものであり、再確認しなければいけない物とも言えます。

 

ではそれ(=内面の豊かさ)とは何か?

考えるに、

それを感じるためには分からないことを無理に分かろうとせず、

時の流れに身を任せる。

流されるのではなく、任せる。

凄く頑張り、各自の義務をしっかり果たしたうえで任せる。

任せた上は、どんな事態が起きようと泰然と構える。

 

ちょっと分かりにくいですね:

それは「信頼」、また別の言葉でいえば「絆」と言うものと考えてはどうでしょうか。

お金を大切にするあまり、あっけなく他者からの信頼を失い、

心の絆を自ら断ち切っている事に気づかない現代人。

かつて豊かに暮らしていた人たちは、それを失うことを最も恐れ、

また恥と考えてきました。

現代では、金銭効率主義全盛になってしまいふと気づけば寂しさにさいなまれている…

決してお金では埋まらない溝。

信頼と絆があれば、困難は時が解決してくれると言えば言い過ぎでしょうか。

 

確かに、金銭で買えるものは体に快楽を与えてくれるかもしれません。

しかしそれは刹那的なものである場合が殆どで、

他者と分かち合えるようなものではないです。

反対に、

「信頼」「絆」に基づく満足感は魂に響き、人に涙させます。

仕事でいえば難しい仕事を、上司やお客様から頂き、

「頼られ」「がんばってこなし」「感謝される」

真の仕事の面白さは、ここにあります。

給料の多寡はそれの付随要因でしかないのです。

これから大人になる子供達、これに気づいて自分を高めていってほしいです。

そうすれば、大来さんの様に世界中の人々に頼られる

「真の国際人」

に近づけると思います。

先週書いたように:

日本が関係ない、外国同士のトラブルに際し、

もうこじれてしまい、当事者同士では決裂するしかない状況。

そこで

「大来を呼んでくれ」

何て言われ、颯爽と現れて解決してしまう。

なんて格好良いのでしょう!

最後に、本からの引用を載せます:

「常に前向きな楽観主義者である大来は、現在日本社会が直面している難局は多少時間がかかっても

克服できる、と確信していた。と同時に、これは明治維新以来と言っても良いほどの大きな変革を、

政治、経済から、人々の生き方まですべての分野に迫るものであることも冷静に認識していた」

「21世紀の日本の方向は、世界の動向を見据えた上で、他国に影響されることなく自分で決めな

ければならない。そのためには構想力、判断力、行動力を持ち、国際舞台で縦横に活躍できる

第二、第三の大来佐武朗が特に若い人の間から次々に出てくることが望まれる。

そのことを一番望んでいたのは、実は大来佐武朗その人であっただろう」

GWに良い本に巡り合え、皆様と共有させていただくことが出来て幸せでした。

 

写真ですが、近所のこんにゃく稲荷です:

Photo_20200508131101

すっかり夏空の様です。

こんにゃくが護符(お守り)で、買うことが出来ます。

のどに良いようで、歌手やアナウンサーもお参りに来るようです。

 

今日も読んで下さりありがとうございました。

 

 

2020年5月 7日 (木)

2020 GW 大来佐武朗の書

おはようございます。

昨日まででGWが終わりましたが、いつもと全く違う日々を過ごしました。

この間は掃除したり、家をメンテナンスしたり、

積んであった本を読んだり、TVやPCで映画を見たり…

今回は偶然手に取った本で、とても大切な学びを得ましたので共有させていただきたいと思います。

 

今回のコロナ自粛の件ですが、冷静に考えるとその前後で世間が変わってしまったことを実感します。

今までの資本主義(おかね主義)は、コロナウイルスの前に吹き飛ばされてしまいました。

そしてGW中に、更に「自粛」が延長されることが発表され、その深刻度はさらに増し

今までは業種(飲食や観光業)に偏ってその影響を語っていましたが、

もうその区分けなく、誰もが大きな影響を受けることになります。

もちろん自分の会社も大変な影響を受けることを覚悟しています。

 

今まで信じてきた主義(資本主義)が壊れたとき、人心も壊れていきます。

ある人は生きる力をなくし、またある人はイライラから粗暴に振舞う。

そうなると…

社会は、その秩序を乱す最低レベルの人に合わせてルールを決めますので、

世の中が規制だらけになってギスギスしだします。

 

補足:

会社も社会も、義務を当たり前と考え、権利はありがたく行使する人ばかりであれば、

ルールなど必要ありません。

「あたりまえ」ですべてが片付くからです。

 

さて冒頭に書いた書ですが、

大来佐武郎氏の回顧録「わが志は千里にあり」

です。

(大変立派な装丁の分厚い本で、重量も重いためにかってから読まずに置きっぱなしになっていました)

大来(おおきた)氏は戦前戦後を型破りの外務・経済官僚として生き、

晩年には外務大臣就任、そして国際人を育てるための大学創立(学長)と活躍された方です。

全く知らない方でしたが、その生き方は現代に大変重要な示唆を与えてくれました。

大きなくくりとして、以下の二つを上げます:

 

● 危機に際して

先の大戦中から敗戦を見通し、まだ大陸と往復できていた時に将来の食糧事情悪化を見通し、

本土への食糧運搬を行う。

● 真の国際化

大来氏は、世界中に足を運び、現地に友人知人を作りながら日本の舵取りを担ってきたが

国際化=欧米化ではないと痛感されている。

言葉が話せるのはもちろん重要だが、それ以上に必要なのは

現地の状況を理解しようとし、その地域に寄り添う心。

そして他者を尊重しつつも、自分をしっかりアピールし妥協点を探る理性。

それが出来て初めて2国間、また多国間のトラブルを仲介する力を得られる。

 

最初の「危機に際して」を読んだ時には、まさに現下のコロナ騒動の後を考えることが大切だと

叱られたような気分でした。

当時軍に逆らい、実行する公務員がいた!

次の真の国際化にも通じるのですが、どんな状況でも動じない自分を確立する事。

その為には資本主義ではない新しい考え方をしなければ、流されてしまうと。

いつの世の中にも、人知れず国、そして組織を支えている人が居ます。

 

現在、テレビ等で良い意見を言っているように見える人、

その多くが演説口調になっているのはとても気になります。

一見正論なのですが、人に考えさせる暇を与えず、その意見に吸い込まれてしまいます。

それは無防備に対してしまえば、とても危険な事態を招きます。

なぜならそれは、

「支え、作り上げる」

という力には決してならず、

「批判し、破壊しつくす」

という暴力的な方向にしか行かないからです。

歴史を学べば、今回の様な不景気になるといつの世もそれが繰り返されていることが学べます。

今回はそれを繰り返してはいけません。

破壊は容易く、創造は遥かに難しいのです。

次回からは大来さんの話を具体的に考えていきます。

 

写真ですが、庭の草むしり中に撮ったブルーベリーの花です:

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今年もかわいい花が咲きました。

甘い蜜をご褒美に、蜂さんに受粉をさせています。

当たり前のように感じますが、本当に不思議です。

かわいいミツバチがせっせと蜜を集めていますが、どこから来るのか、どうしてわかるのか?

そして蜂を応援するかの様に、蝶々がひらひらと。

うららかな春の一日、天国の情景が庭に!

自然の奥深さを実感します。

今日も読んで下さりありがとうございました。

2020年4月 6日 (月)

パニック

おはようございます。

今日は開高健(かいこうたけし)のパニックという本について書きます。

現下の世界情勢を表しているような話です。

 

今のパニックは新型コロナウイルスによって引き起こされていますが、

この本では「笹の花」とそこに吸い寄せられる「ネズミ」によって起こされます。

笹の花は60~120年に一回しか咲かないそうですが、その花の実はとても栄養価が高いそうです。

コメや麦を軽く凌駕するほどに。

初夏に咲いた花をそのままにして冬になってしまうと、食料を求めたネズミが殺到してしまい

農作物に大被害が及ぶことに気づいた役人が居ました。

ネズミは安定した環境下では「ネズミ算式」と呼ばれるように、

あっという間にたくさんの子供を作り出します。

そこで彼が、上司に笹原を焼き払うことを提案しますが、地権者や政治家の反対にあって

現状維持を続けてしまいます。

反対理由は

  • ネズミがたくさん来るという風評被害
  • 焼き払う際に火事にならないか

などどうでも良い事。

花の周期が60年から120年という事は、実際に知っている人がほとんどおらず、

危機感が無い(今日と同じ明日は来る)というのが大きいです。

地震や津波の被害もこれと全く同じ心理状況と言えるかもしれません。

 

一般的にネズミは小さな範囲(せいぜい10~20m四方)でしか活動しないそうです。

しかし、多量の食糧があるという情報は共有するようで、この本の中では

全ての種類のネズミ(ハツカネズミやドブネズミ、クマネズミ)が笹原に集合してしまい

一つの巣に2~3俵もの笹の実を蓄えたとか。

しかしそれも増えすぎた子供によりあっという間に食い尽くされ、

春を待たずに手当たり次第に近くの木に食らいつくことに。

春になって雪が消えれば、雪の下で木は倒れんばかりに細くなるまで食い尽くされている。

 

それでも食べなければ死んでしまうネズミたち。

ここで普段ではありえない行動を起こし始めます。

自分の行動範囲を超えて、また夜行性のネズミが白昼堂々と街を目指す。

全ての下水道がネズミで埋め尽くされるのはもちろん、家のかやぶき屋根まで食い尽くし、

昼間に人間の赤ちゃんを襲うほどに。

 

そしてさらに行き詰まりパニックを起こします。

皆で一斉に同じ方向に向かい走り出します、その先には生の希望もないのに。

 

これから読まれる方もいると思いますので、人間関係の動きと結末は書かないことにしました。

でもここに出てくる「ねずみ」を「人間」に置き換えても通じてしまいそうな現下の状況。

恐怖心からパニックを起こせば、ネズミの行動を笑って見られないのは歴史も証明しています。

 

ではそうならないために我々はどうするべきか。

それは、ネズミはもちろん人間以外のすべての動物には無い

「克己心」

に対して理想を定めて生きることです。

「克己心」は「気品ある生き方」と言い換えても良いかもしれません。

気品とは、数々の名言を残された哲学者「森信三」によれば

「その独りを慎む」と。

他者の目ではなく、自分自身の内面からにじみ出るものにより、自然体で律する。

明治、大正、昭和、平成を生きた森信三。

その言葉からは武士道に通じる精神性の高さを感じます。

戦後世代の日本人が忘れてしまっているものかもしれません。

国難といえる現在の状況を乗り切るために、偉大な先輩方の言葉から力をもらう。

そして免疫力を高める事でウイルスに打ち勝ちましょう!

陽だまりの無駄話が普通の光景になる日まで。

 

写真ですが、一週遅れで雪の桜です:

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本降りです。止むのを待って公園に行ってみました:

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急に気温が下がったので、湖面が煙って(けぶって)います。

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珍しい景色なので、写真を多めで。

今日も読んで下さりありがとうございました。